犬と猫の病気と食事
高栄養要求時
犬や猫の食欲がないときは‟おかゆ”がいいの?
犬や猫の食欲がないときや多くの栄養を必要とするときは、消化がいいことはもちろんですが、少ない量でもしっかり栄養をとることのできる、特別な食事が必要です。
犬と猫の高栄養食とは?
栄養素を普通より多く含み、少量でカロリーや栄養を充分にとることができる食事を高栄養食と呼びます。
高栄養食とは、エネルギー、タンパク質、ビタミン、ミネラルなどの栄養素を普通より多く含む食事(フード)をいいます。病気からの回復期、手術の後、成長期、妊娠・授乳期などに高栄養食が必要になります。食事量を増やせば、たくさんのカロリーや栄養をとることができますが、食欲が落ちている病気からの回復期や手術の後、未熟な成長期などには、食事の量を多くとることができません。そこで、少量で、カロリーや栄養を充分にとることができる食事が必要となります。
消化管と免疫
食物を摂取することで、消化管は体を防御する機能をつかさどる「最大の免疫器官」としての役割を果たしています。
食道・胃・小腸・大腸などの、食物を消化し栄養を吸収する口から肛門までの器官を「消化管」といいます。
消化管は、消化・吸収が正常に行われているかぎり、病気や毒素などから体を守る免疫機能を果たしていて、「最大の免疫器官」と呼ばれています。
消化管は食物を消化・吸収することで正常にはたらくことができます。消化管は食べ物が入ってくることが前提の組織で、血液によって運ばれる栄養では不十分であり、食物から必要な栄養を得て、それをエネルギー源としています。
しかし、食物が入ってこない場合、腸の粘膜の状態が悪くなることによって免疫力が低下し、手術の際に、感染症などの合併症のリスクが高くなってしまったり、腸内細菌バランスが異常になったり、入院期間が延びてしまったり、傷がなかなか治らなくなってしまうなどの原因となります。
犬と猫の高栄養要求時の食事管理
栄養要求量が高い場合、一番簡単な方法はたくさん食べさせて、たくさんカロリーと栄養をとらせることです。しかし、病気やケガの回復期や成長期は胃や腸が弱っていたり、体が未熟で小さかったりと、たくさん食べられないことが多いので、少ない量でカロリーや栄養が充分にとれる食事(フード)が必要になります。
また、体の抵抗力も落ちていることが多く、活性酸素によるダメージも受けやすくなっているので、抗活性酸素物質の補給もおすすめします。
犬用食事療法食、猫用食事療法食のポイント
高栄養要求時に用いられる療法食は下のような点に配慮してつくられています。
- 消化性を高く設計しています。
消化管に負担をかけないために、消化性の高い原材料を使用しています。 - 消化管に負担をかけないために、少ない量でもカロリーや栄養素を多く含んでいます。
- 抗活性酸素物質を配合しています。